★清里、千ヶ滝




 白山登山から帰った翌週、私はカミさんと清里にある千ヶ滝に行った。今回の天河神社、玉置神社、白山登山と続く白山菊理姫詣での一貫である。清里、千ヶ滝と白山菊理姫?。なんの関係もなさそうな場所なんだが、私としては絶対に行かなくてはならない、という矢も盾もたまらない気持ちに駆られての行動だった。その経緯というのは……
 以前「皆神山の謎」三部作を購入してくださった女性から、メールで「美内すずえ」という人の本を薦められた。女性の方なら知ってる人も多いと思うが、「ガラスの仮面」という少女漫画の作者である。この人が、ある時期霊感が強くなってたくさんの心霊体験をする。そこから「アマテラス」という日本古代神話をモチーフにした作品を生み出している。その外伝として「倭姫幻想」という作品がある。私も「神々の深遠」で「五十鈴フトマニクシロ」を完成させた術者として倭姫を取り上げているところから薦めてくださったようだ。
 その外にも数々の不思議な体験が書かれていて、私としては「ホンマかいな?、」と思う部分も多いのだが、なにかを感じさせるところもたくさんある。その中の天河神社での体験は興味深く、カミさんがはまってしまい私以上に何度も読み返しているのだ。
 千ヶ滝は美内すずえさんがその本の中で白山菊理姫が居る場所として紹介しているのである。清里はずいぶん何度も訪れているのだが、千ヶ滝の存在にはついぞ気が付かなかった。ただ、山の関係で飯盛山にはいずれは登ろうと考えていて、千ヶ滝はその途中のほんの付録のように考えていた。
 白山から帰って、どうしても千ヶ滝に行かなければ、という想いが強くなった。白山紀行でも書いたが、私としては白山には菊理姫様は居ないような気がしたのだ。といっても「気」は通じていて、強いパワーをコントロールしているのは間違いないのだが、なんとも物足りないのである。そんな気持ちが千ヶ滝に向かわせたのかもしれない。

 2009年7月20日、朝五時に家を出て七時過ぎには清里に着いていた。肌寒い高原の空気の中、地図を頼りに飯盛山方面に坂を下り始めた。人影はほとんど無く、空気が実にうまい朝だった。
 やがて大きな看板が見えて、小さな旅館の駐車場を抜けていくと、水の音が聞こえてきた。どうやら滝の上から向かっているようだ。急な階段を下りていくと切り立った巨石の前に出た。「オオー!、凄い…、」思わず声が出るほど力のある岩座である。その先の細い道を下ると滝の前に出た。
 それほど大きな滝ではないが、幅が広く、可憐な美しさがある。その場のフィーリングも波動が高く感じられた。なるほど美内すずえ先生ならなにかを感じそうである。しかし本音を言うと、またしても菊理姫様の存在を感じることができないのである。私は霊能者でもないし、そういう能力があるとは思えないのだが、その凡人としてもここは確かに神聖な場所で、誰かが神様とか竜神様とか呼ぶような存在が居るような気がするのだが、それが菊理姫様とは感じられないのである。
 カミさんと巨石や滝をバックに写真を撮って、ビデオを回し始めた頃、空を覆っていた雲の隙間から日が指してきた。滝の周辺がスポットライトが当たったように明るくなり、空気が暖かくなってきた。どうやら一応歓迎されているようだ。すると、ビデオモニターに突然白い光の帯が映った。「オオ?、」私は一瞬、遂に龍の姿を捉えたのか、と思った。が、それはただハレーションだった。ただ、ある程度角度を変えても消えないのだ。デジカメで撮っても同じだったので、「神様と一緒の記念写真」を面白がってたくさんうつした。ただこれだけの話なのだが、そのハレーションは、私にはなんとなく神様のオチャメな悪戯のような気がするのだ。その後早朝の清泉寮に寄ってお昼には帰宅した。

 これで一応白山菊理姫に関して気になる場所は全て行った事になる。確かに白山菊理姫様とその眷属と思われる神様の気配は充分に感じることができた。私は常に現代科学の常識を越えた未知のパワーがあって、古代文明だけでなく、広く宇宙全体にこのパワーが満ちていて利用されていると思っている。そういう意味ではオカルティストと言われても仕方がないのかもしれない。ただ、不思議なことを漫然と受け入れる事はしないように心掛けている。解らない中でも大系付けたり、自分の感じたフィーリングを深く探ることでなんらかの答えを見出したいと思っているのだ。今回の白山菊理姫様に合いたいという衝動も、なにも私の勝手な思い付きだけだとは思っていない。衝動は肉体の内部から来る。それはフィーリングとして外部の何者かが私に波動を送るから起こることなのだ。では、誰がその波動を送っているのか?。その答えは想像の域を出ない。しかしその衝動だけは確かにあるのだ。
 皆神山を通して古代文明、果ては宇宙の真相を知りたがっている無知で頑迷な生徒に、菊理姫先生が溜め息まじりに指導してくれているのかもしれない。そうならいいけどなぁ……





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