★尼厳山・巨石に秘められた神の謎

◎発端

 2007年12月9日、フィルムフェスの翌日、長野の皆神山を通じて知り合った友人達と皆神山のお隣りの山、尼厳山に登ることになった。メンバーは私とカミさん、高橋スキイチと友人のW氏、長野市内のJAZZ BAR「ミュージシャン」のマスターNさん、「ミュージシャン」の常連で皆神山フリークのYさん御夫妻、その友人のBさん、やはり常連のコーちゃんとその友人の女性二人、彼女達は長野の雑誌「長野小町」の関係者らしい。そしてネオンホールで知り合ったいいだごうさんとABNORMAL SYSTEM 氏。なんと総勢13人のパーティとなった。
 「ミュージシャン」のマスターNさんはスキイチの友人で、以前から皆神山に強い関心を持っていた。また、常連のYさんには私の作品を出す毎に買っていただいていて、上映会にも欠かさず顔を出していただいた。
 07年の夏はネオンホールでの三部作上映会で毎月長野に来ていた。その際にNさんから「今年中に一緒に尼厳山に登ろう。」という話が出てきた。10月頃に予定していたのだがスケジュールの都合がつかず、遂にこの日に実現することになったのである。
 早朝、小雨の降る中、私はカミさんと善光寺にお参りをし、10時には尼厳山登山口のお寺の駐車場に着いた。まだ誰も来ていなかった。冷たい風が吹いて、時折雨粒が落ちてくる。「こりゃ、中止かなぁ…。」と思ったりしていた。スキイチとW氏が来た。挨拶を交わしたのだが、外にいると寒いので車の中で話をしていた。やがてNさんが奥さんと息子さんとやってきた。続いてYさん御夫妻とBさん、いいだごうさん、AS氏が集まってきた。Yさんは今日のリーダーで、もともとロッククライミングを嗜む登山のベテランであり、また、今日の為に何度も登って下調べをしてくれている。
 11過ぎ、コーちゃんが二人の女性を連れてやってきた。これで勢揃いである。この頃になると天気はだいぶ回復してきている。Yさんと相談して登ることにした。
 お互い見知らぬ人達なんだけど、皆神山フリークという点で繋がっている不思議なパーティで出発することになった。

◎巨石

 いざ登り出すと、13人というのはかなりの人数である。私はいちおうしんがりを勤めた。一度「神々の深淵」の撮影で登っているスキイチが先頭らしいのだが全く見えないのである。15分ほど登ったところでコーちゃんが遅れ出した。彼はかなりの巨漢である。膝への負担が大きいので大丈夫か?。若い時は平気でも、こういうのは突然やってくるからなぁ…、経験者の私としては少々不安である。
 石仏の辺りから急登りになる。休み休み、それぞれ語らいながら一時間ほど登ったところで巨石の下に出る。Nさんはずっとどこか場所を探しているようで、Yさんと話し込んでいる。私にも尼厳山のパワースポットなど聞いてくるのだが、やはりこの巨石の辺りだろうと思っている。ここで目を閉じると白い光が広がる。これがなんの力なのかは分からないが、明らかに他の場所とは違うのである。
 Yさん達が巨石の下を進んでいく。私達も続く。どうやらここはロッククライミングの練習場にもなっているようで岩のあちらこちらに鉄のフックが打ち込まれている。YさんとBさんが岩を登っている。普通の人には考えられない急なところである。私とスキイチははらはらしながら見守っていた。
 尼厳山の巨石は高さが30メートルほどある。皆神山に面していて、古代文明の中でなにかの働きをしていたのは確かだと思う。松代群発地震の時に発光現象がよく見られたのも、この巨石と皆神山に挟まれた東条地区なのである。しばらくこの辺りを調べていたNさんが首を傾げながら「ここじゃないなぁ…、」と呟いていた。
 巨石を回り込むように登り、上に出ると皆神山を見下ろすことができる。ここからの眺めは最高で、みんな一様に声を出して感嘆している。そこから頂上までは15分ほどである。
 尼厳山の頂上はかつて砦があった場所で、まず大きな堀があって、そこを越えると平らに整地された山頂に出る。そこでめいめい弁当を広げて一休み。
 Nさんがどうしても私に教えたい場所がある、ということでYさんと数人連れ立って探しに出る。最初は急坂を下って奇妙山方向に向かったのだが、途中でYさんが間違えた、と言う。山頂を巻くように南側に回ると、Yさんの奥さんが待っていた。私はちょっと吃驚してしまった。
 そこには陶器を焼く窯のような石積みの室があった。最近のもののようにも見えた。あるいはこの周辺でよく見つかる古墳の一つかもしれない。Nさんがしげしげと眺めながら「ここじゃないな…、」という。Yさんの意見では、炭焼きの窯ではないか、と言うことであった。こんな寂しい山頂直下の場所にあるのだからなにか意味があるのかもしれないが、私も今一つピンとこなかった。
 山頂に戻るとみんな寒そうにしていた。記念写真を撮って下山ということになった。ここでちょっとしたアクシデントが起きてしまったのだ。
 メンバーの中には女性人がいて、彼女達もおトイレに行きたいのではないか、と思って男達だけで先に降りたのだ。残った男性はYさんの友人のBさんだけ。彼は山のベテランである。また、Yさんの奥さんも何度も登っているので心配ないと思ったのだ。私も必ずしんがりにつかなければならなかったんだが、Nさんと話したかったし、そんなことで先に降りてしまったのである。

◎神の居る場所

 先発陣の中でも高橋スキイチとW氏、コーちゃん、うちのカミさん、いいだごうさん、AS氏などは先に降りてしまった。巨石の上のところでNさんがコースをはずれて「ちょっとこっちを見てみたい、」と巨石の上に行く。私とYさんも後に続く。「ア、ここだ、間違いない、」その鈍詰まりでNさんが叫んだ。
 そこは巨石の頭の部分で、五メートルほど下に台になった場所がある。Yさんは上着を脱いで下まで降りていく。私にも来い、と言うのだが、とても普通の人が行けるところではない。「どうなってる?、」Nさんが声をかける。「三メートル四方くらいの広さ。でもなんにもないですね。」とY氏。「いったいどういうことなの?、詳しく教えて。」と私はNさんに言った。「実はね…。」
 Nさんの店「ミュージシャン」は長野でも20年来の老舗で、昔から皆神山など不思議なものに興味のある人が集まっていたのだそうだ。その中にI氏という人物がいて、かなり霊感があって、不思議なことに精通していたという。そのI氏が十数年前、Nさんをこの場所に連れてきたのだという。I氏がなぜこの場所に連れてきたのかは分からないのだが、ここがなにか大切な意味を持っているのだ、ということは分かっている。その謎を私に解いてほしい、というのである。
 「うーん、荷が重いなぁ…、」というのが正直な感想である。しかし、この三人はなにか縁があってこの場所に居るのは確かである。とにかく心の中に???が浮かび上がっていた、その時である。皆神山方向の空に枯葉が舞い上がって、それが太陽の光に当たってキラキラと輝いているのである。私は「オヤ?、」と思って見惚れていた。下から風が吹いて枯葉を巻き上げているのだろうが、それが恰かも神の祝福のサインのように感じられたのである。NさんとYさんに「ほら、凄いよ、奇麗だねぇ、」と声をかけたのだが、二人はそれほど感じていない様子だった。それは思いもよらず長い時間続いた。私はビデオもデジカメも出すのを忘れて見惚れていた。これは映像にではなく、心に刻み込む光景なのだと思われたのだ。
 「確かにここはなにか大変な場所みたいだね。でも、今すぐには分からないから研究しますよ。」私は自分に言い聞かすように呟いた。Nさんもこの場所を思い出して安堵した様子だった。三人がルートに戻ると、Yさんが怪訝な顔をした。後発の人達がまだ来ないのである。「ちょっと見てくる、」と再び山頂に向かった。私も心配になったので後を追った。
 途中で奥さんと携帯が繋がった。どうやらルートを間違えて裏側に降りてしまったらしい。Yさんは登山家らしい顔になって「絶対戻ってこい、」と命令した。私は後で車でまわれば…、とも考えたのだが、Yさんは絶対にだめだという。しばらく二人で待っていたが、みんなのことも気になったので私だけ先に降りることにした。
 巨石の下のところでコーちゃんがいた。そうとう膝にきていて脂汗を流していた。ここを過ぎれば勾配が楽になるのでもう少し、などと励まして一緒に下る。途中でNさんとカミさんに追いついた。
 けっきょく四時過ぎに駐車場に着いた。いいだごうさんとAS氏が待っていた。スキイチはお店の時間があるのでW氏の車で先に帰ってしまった。それから30分ほどしてYさん達が下りてきた。これで全員無事下山である。やれやれ…

 その後みんなで「牧場の湯」に入って汗を流して、私とカミさんは東京に帰った。他のメンバーはスキイチの店に寄ってずいぶん盛り上がったようである。ネオンホール組のいいだごうさんとAS氏とはあまり話もできず残念だったが、なにかを感じてもらえればいいのだが、と思った。とにかくこんなことはそうそうない、とても不思議で皆神山の神様に見守られているような一日であった。できれば、私としては今度は虚空蔵山にみんなで行ってみたいと思うのである。

◎考察

 さて、今回、いったいなにが起きたのだろうか…。Nさんがこだわった、I氏に連れてこられた場所。そこは尼厳山の巨石の、一番奥のトップであった。そこには3メートル四方の空間があって、そこに辿り着いた時に神様の祝福のような枯葉の舞が起こった。
 地図上で見ると、巨石群は皆神山の真北にある。つまり、上田市の生島足島神社、虚空蔵山、皆神山を通る南北の線上にあるのだ。もし、そこになんらかのエネルギーが通っているとしたら、この巨石はそれを塞き止めているのか、或いは反射板のような役割をしているのか、とにかくそんな位置にある。今のところ私が思いつく推理はこんなところである。いずれその秘密が漏らされる時がくるかもしれない。それまでは先入観を持たずに、謎は謎のままにしておきたいと思う。
 それにしても楽しく、充実した一日でありました。皆さん、どうもありがとうございました。また、一緒に登りましょう!。

2008.3.27

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