
一口に「皆神山の謎」といっても簡単には説明できない深いものがある。「歴史的な謎」「科学的な謎」「宗教的な謎」などと分類することが出来る。ビデオ制作に当たって、最初はこの全てを一本の作品にまとめようと思ったのだが、問題があまりに大きく、複雑だったので「分かりづらい」と言う指摘を受けてしまった。そこで今回は三つに分けて作ろうと考えている。
そもそも「皆神山の謎」と言うものの実体は何なのだろう。「日本のピラミッド」とはどういうことを意味しているのだろう。発見者の山田久延彦氏は「神々が天上がるUFOの発射装置」と位置づけている。エンジニアとして具体的な推進理論まで示して説得力を持たせている。彼の卓抜した推理力なくしては皆神山ピラミットの存在は分からなかったろう。
しかし、それでもなお皆神山は不思議な山なのである。太平洋戦争末期、日本軍が天皇の御座所を皆神山の地下に造ろうとした事実。皆神山を震源地とする「松代群発地震」の謎は今なお解明されていない。
もう一つ忘れてならないのが「宗教的な謎」である。皆神山山頂には皆神神社があり、熊野出速男を祀っている。しかしその横には本殿よりも立派な侍従大神の社が建っている。山頂には他にも富士浅間神社などがある。目立つところでは「カモメ之宮」の石碑、大本教の出口王仁三郎の石碑などがある。これらの神道系の新興宗教はどのような理由で皆神山を崇めているのだろう。
そしてそれらと重要な関わりを持つ問題として、いったい誰が、いつ頃皆神山を造ったのだろうか。歴史自体がまだ多くの謎を含んでいる現在、皆神山がはらむ謎は重大である。謎の解明は人類の在り方を指し示すものになるからだ。皆神山は現在でもタブーとされアカデミズムに対してはかなりの締め付けがあるようである。私のような市井の一駄民が囁く説などたぶん一顧だにされないだろう。だからこそ真実に迫ることができるのではないか、と密かに画策しているのである。
ここでビデオシリーズ「皆神山の謎」の基本姿勢というものを明らかにすることによって、謎の整理をしておこうと思う。

1、「皆神山の謎・入門編」
ここでは皆神山本体の謎について説明している。七不思議と呼ばれる数々の謎を紹介しながら、主に山田久延彦氏が発見した皆神山ピラミッドの証拠を検証する。山頂看板に書かれている皆神神社が祀っている神々の出自から神代の神々が宇宙から来たことを推測する。「小丸山古墳」「天の岩戸」といった遺跡の検証から当時の科学水準を推測している。
一通り皆神山ピラミッド説を構成する不思議なものの検証が終わると、太平洋戦争末期、軍部が皆神山の中に皇居を移転しようとした事実を取り上げる。これは極めて重要な問題で、皆神山の謎の根幹に迫るものである。現在は松代象山地下壕として公開されているが、皆神山本体のものは隠蔽されている。もし皆神山が従来の説通りただの火山の成れの果てだとしたら、そんな山にどうして皇居を移転しようとしたのだろうか。もしかしたら天皇家に連綿と続く古文書の中に皆神山の正体についての記述があるのかもしれない。これはあくまで推測だが、そんな疑問を起こさせるのだ。
その得体の知れない皆神山のパワーを感じさせる出来事があった。それが昭和40年代に起こった「松代群発地震」である。この地震については未だに確定的な原因が出ていない。様々な研究が続けられ、現在では皆神山直下に巨大な空洞が存在することや、周辺に湧き出している温泉に直接マグマ水が混ざっていることなどが分かってきた。これらも皆神山がピラミッドとして人工的に造られた傍証になり得るものである。
「入門編」と銘打ってはいるが、このように深い処まで斬り込んでいる。決して「不思議」を総花的に並べているわけではない。しかし、皆神山が示す古代文明というものの姿はまだぼんやりとしている。そこで第二作ではそこに焦点を当てて行くのだ。
2、「長野超古代文明」
第二部では、まず山田久延彦氏がどのように皆神山ピラミッドを探し当てたか検証する。地元の「皆神山ピラミッド委員会」の田中正美会長の協力も得て当時の貴重な資料も見ることが出来た。
そして山田久延彦氏の推論に沿って皆神山造山に関わったと思われる戸隠山、また古代のダムと思われる半過、岩鼻を紹介する。この2か所は皆神山ピラミッドを造った古代文明を考える時、極めて重要な場所である。特に戸隠からは山田久延彦氏が「古代のコンクリート」と考える礫岩が提示されている。そして同じ岩が善光寺の境内に祀られていることも分かった。いったいこれは何を意味しているのだろう。
私は山登りを趣味としているのだが、山に登る度に不思議な磐座に遭遇する。その中のいくつかは明らかに「古代のコンクリート」と思われる礫岩で、意図的に配置されているように思われることがある。特に相模湖畔にある石老山は山全体に巨大な礫岩が分布している。しかし他の山にはないのである。つまりここは古代のコンクリート製造工場だったのではないかと思われるのだ。
つまり、この回では山田久延彦氏の提唱する「仮説論理学=ハイポロジクス」の発想で見回すと各地に古代文明の痕跡を見ることができる、ということを伝えようとした。
私なりの展開の中で金峰山、瑞墻山という神道、修験道の聖地も古代文明の何らかの遺跡だと直感して紹介した。
また、独自の展開として妙技山、荒船山を取り上げた。この二つの山は他の山と違って独特の形をしている。それは恰かも人工的なオブジェにも見える。妙技山は実際に中間道を登って取材したのだが、巨大な岩はまさに古代のコンクリートだと思える。また、荒船山のトモ岩という絶壁からは凄まじいプレッシャーを感じる。目には見えないなんらかのエネルギーが現在も出ているということだろう。
少し山梨に寄った奥秩父山塊の西端に位置する、瑞墻山は磁場ゼロ地帯として知られている。その奇妙で巨大な立石はなにかを感じないではいられない。そしてお隣りの金峰山にもまた巨大な五丈岩が屹立している。ここも明らかに古代文明のなんらかの装置だったと思われる。
これらはそれぞれ神道、修験道の聖地とされている。皆神山が象徴する長野超古代文明の一つだと考えられるのである。
3.「神々の深淵」
第三部は皆神山の宗教的な側面から古代文明の本質に切り込んでいく。何故皆神山が多くの霊能者から特別な山として崇められているのか?、その疑問から日猶同祖論、竹内文献(竹内文書)、大本教と皆神山の関連を解きほぐしていく。竹内文献では東北、富山、能登、茨城など関係する場所を実際に回って取材を慣行した。また、大本生誕の地、京都、亀岡も訪れた。
超古代文明を語る時、ジグソーパズルのチップのように散乱したこれらの問題はなかなか一枚の絵にはならない。そこを繋ぐものが見えないからだ。現代科学の唯物論的視点では理解不可能なのである。そしてその突破口として「神」がいるのである。
「神」とはなにか?。この問題に挑んだのがこの作品なのである。修験の行者、金井南龍の言葉から伊勢神宮にまつわる「フトマニクシロ」と呼ばれる古代呪術の実態を解明する。そしてそこに使われたパワーこそが「神」そのものなのではないか、と推測する。
また、リニアモーターカーのエンジニアで、現在は巨石や古代文明の研究者でもある長池透氏の提唱する「潜象光」を検証することで、「神」のもう一つの顔にスポットを当てる。
そして全てのチップがはまった時、皆神山の真相が見えてくるのだ。