★田沢湖、角館、格安旅行顛末記

 2004.6,11−12、カミさんと二人でGIZUMOの大好きな田沢湖、角館に行った。どちらもGIZUMOは三回ほど訪れている。一度カミさんを連れてきたいと思っていたのだが、車だとやはり遠い。とてもじゃないが一泊では納まらないのだ。そんなおり、ネットで格安のツアーを発見した。通常、運賃だけで一人往復三万円はかかってしまうのだが、このツアーはホテルに泊まって食事も二回ついて二万円なのである。足は往復新幹線の指定である。二人で四万で行けるのだ。どんなものかと思いつつGIZUMOは予約を入れたのだった。
 細かく言うと出発時間や帰りの時間は少し幅がある。どちらも東京駅出発なのだが、早いと八時半、遅いと十時近くになってしまう。また帰りも二時頃から四時頃まで幅がある。あんまり遅く出発して早く帰ることになると向こうで遊ぶ時間が限られてしまう。逆にあんまり早く行くのも朝が辛い。我々の場合、思っていたよりも遅い出発で帰りは二時前に出なければならなかった。この時間は選ぶことができない。
 最初は阿仁まで足を伸ばして森吉山に登ってくるつもりだったが、現地到着が一時、翌日の二時前に帰らなければならないのでこの計画は中止した。その代わりレンタカーを借りることにした。ま、これも由と考え事にしている。

 さて、当日、東京は曇で雨が降りだすという天気だった。九時五十分の出発だがちょっと早めに、八時半に家を出た。朝のラッシュも終わって、比較的楽に東京駅に着いた。久し振りの駅弁を買ってさっそく乗り込んだ。東北新幹線は初めてである。楽しいな。
 弁当を食べて角館の本を見ながらどこに行こうか相談しているうちに仙台についてしまった。何という早さだろう。「ここからが東北らしくなってくるんだよ。」などといっているうちに盛岡である。ここで秋田新幹線になる。ここからは在来線の線路なので早くはないが、その分外の景色を楽しめる。そして三つ目の駅が田沢湖である。まさにあっという間である。この表現がオーバーだと思う人もいるだろうが、今まで車で何時間もかけて来ていたGIZUMOにとっては信じられない早さである。
 田沢湖には一時に着いた。とにかく体が楽なのである。ここで向かえに来ていたホテルの人に断ってレンタカーを借りドライブに出かけた。

 短時間で東北に移動したのでGIZUMOが住んでいる東京近辺との差がよく解る。空気が違うとか自然が残っているとか言うけれども、一口に言って東北はまだ自然が人間に勝っているのだ。こんな言い方はへんかもしれないが、東京近辺の山に行っても道は整備されているし道標は至る所にある。しかし東北の山は木の勢いも違う。人間が浸食していないのだ。遥か縄文のにおいが残っているようだ。
 車の窓を開けて風のにおいを楽しみながら神秘の湖、田沢湖に向かった。この湖は清廉な感じがする。ほかの湖と違って、研ぎ澄まされた清々しさがある。これは言葉ではうまく伝えられない。この日、天気も好く、あまり人もいなかったせいかよけいにそんなことを感じた。GIZUMOが何度も訪れたくなる理由もこの辺にあるのかもしれない。金色の辰子像の前で車を停めて岸辺にいった。久し振りの御体面である。しかし辰子像の前は年寄りの団体さんがいて大騒ぎをしている。特にオバサン軍団は五月蝿い。せっかくのロマンティックな気分も台無しである。少し離れたところで記念写真などを撮ってみた。カミさんにしてみたらそれほどインパクトはないようである。
 田沢湖を半周して阿仁にいってみることにした。しかし十分ほど走っていたらなんとなく飽きてしまって止めることにした。道の両側には深い山が続いている。阿仁までは一時間ほどなのだが、この単調な山だけの道はカミさんには退屈だと思ったのだ。「引き返そうか、」というとすぐさま同意した。
 田沢湖の反対側はGIZUMOも未体験ゾーンである。しばらく走ると神社があり、湖畔に大きな鳥居がある。駐車場に車を停めて見学することにした。ここにも辰子像があり、こちらは下半身が蛇になっていて、言わば伝説そのままの姿だという。湖畔や鳥居の前で写真などを撮ったり、神社にお参りなどしてみた。そこにまた観光客の一団が出現。若い人達が多く、子供も何人かいる。しかし言葉が聞いたことないのだ。どうやら中国の人達らしい。韓国や中国からの観光客も東北には大切なお客さんなのだろう。
 田沢湖を一周して、まだ時間があったので乳頭温泉に足を延ばした。ここでは有名な鶴の湯温泉にいった。街道から逸れて山道を走ること十五分余り、ようやく秘湯、鶴の湯温泉に到着。やはり老人の観光客がまばらにいる。日帰り入浴の客がパラパラ帰る時間帯だ。ここはその秘湯ぶりを楽しむところなので、決して豪華な作りとはいえない。宿泊施設も昔のアパートみたいだし、GIZUMOが以前泊まった部屋は鍵さえ満足になかったのである。もっともGIZUMOはこういうところも好きなので面白かったのだが、カミさんはどうも苦手なようである。こういう野趣味のある秘湯よりも豪華なホテルの方が良いらしい。
 四時半頃にホテルに戻った。宿泊は「ホテルタザワ」というところで、スキーのゲレンデのすぐ下にある。ものすごく奇麗で豪華、とはいかないが、清潔そうなホテルである。我々の部屋は和室でかなり広い。GIZUMOはまずひとっ風呂浴びにいった。もちろん風呂は温泉である。湯船は十五、六人くらい入れる規模である。露天がわりと大きい。なにより気に入ったのはここの備え付けのシャンプーやボディソープで、竹炭のものなのである。なかなか洒落たサービスである。

 風呂から上がると、初夏のことで日が長い。食事の前にホテルの周辺をカミさんと散歩することにした。ホテルの前は広大な駐車場である。今日の宿泊客は五十人くらいいるのかな…。それでも車はほんの一角を占めるだけである。そしてその上は遥か彼方までスキーのゲレンデである。もちろんこの季節は緑の草原でミニゴルフ場に変身している。数人がプレイしている。少し歩くと巨大な観音像が立っている。ここも広大な駐車場があって車は泊まっていない。カミさんにとってはこちらの風景のほうが印象的だったらしい。観音像は入場料を払うと中まで見れるのだが、あいにく財布を持って来なかったので止めた。やがて辺りは夕暮れてきたのでホテルに帰ることにした。

 二万円のツアーなのでいったいどんなことになるのであろうか、と思っていた食事だが、なかなか豪勢だった。きりたんぽとすき焼きの鍋があって、とろろをかけた刺身、鮎の塩焼きなどが並んでいる。なんだか申しわけないような気分である。地元の銀河高原ビールをたのんでいちおう乾杯などをした。それからGIZUMOは御飯は食べずに焼酎のお湯割でおかずを楽しんだのであった。
 前日も仕事だったせいか、お酒を飲んだら疲れが出て、食事が済んだら二人とも爆睡してしまった。カミさんなど風呂にも入らず寝たようだ。

 翌朝は二人とも五時過ぎに起床。どうやら昨夜は雨だったようで窓の外は濡れている。しかし雲の切れ目から青空がのぞいているので晴に向かっているようだ。旅行に来たときはテレビを点けない、という約束だったので静かな朝である。風呂などに入っているとすぐに七時の朝食になった。朝食はバイキングである。これまた豪勢なおかずが並んでいる。どちらかと言えば朝、食べるほうなので嬉しい限りである。それにしてもこんなに豪勢で申しわけないような気分である。

 予定通り八時に出発。雨はすっかり上がっている。気持ち好い空気の中、角館に向かった。三十分ほどで到着。はじめに車で武家屋敷の通りや駅前など走りまくった。こういう雰囲気の町だということをほぼ掴んでから武家屋敷駐車場に向かったのだが、なぜかこの日は使えず、川のほうに回されてしまった。といっても歩いてすぐの距離ではあるが。
 有名な桜の並木に出た。雨上がりで空気が清々しい。うっすら陽もさしている。角館では桜の葉もまだ新緑の雰囲気を残していて力強い。ここで写真など撮っていよいよ武家屋敷にいった。土曜日ということもあってけっこう観光客がいる。あんまり閑散としているのも淋しいので、ちょうど良いくらいかもしれない。高さが二十メートル以上あるしだれ柳の巨木が道路の両脇を飾っている。これが好いのである。黒塀としだれ柳の緑が幻想的である。こんなところに住んでみたいものである。たぶん三日で帰りたくなるかも……。でも、住んでみたい。
 まず有名な青柳家に入ることにした。入口で女性職員が道を箒で掃いている。こんななにげない風情が好かったりする。ここに来るのはGIZUMOはたぶん三回目である。最初は一人で、二度目は奥村隊長達と、そして今回である。展示物などは覚えているのだが、過去の訪問は時間の関係でいつも追い立てられるような気持ちだったので、一度のんびりと見直したかったのだ。今回は時間はたっぷりあるので気分が違う。
 青柳家は武家屋敷そのものの見所もあるが、たくさんのコレクションがあって、それもまた面白いのだ。明治大正時代の軍服やそれこそ大昔のレコードなどが飾られている。細工ものや骨董品などを売っているところもある。庭はなかなか趣があってとにかく飽きない。カミさんも興味深そうに見物していた。
 武家屋敷を何軒か見ると、あとはみんな同じようなものでちょっと飽きてしまう。そこで今度はお土産もの屋をまわってみる。ここのお土産ものは総じてちょっと高級感があって高めである。武家屋敷町らしく、茶道などに使う小物がたくさんあるが、GIZUMOにはいったいなにに使うのやらチンプンカンプンである。お菓子もちょっと高級で、試食してみるとなるほど味わいが深い。
 町を一通り見て回ったので、ちょっとはずれにある城山に登ることにした。といっても武家町から歩いても十分かからないだろう。小高い丘の上にあって車でいくと入口はよく調べないと分かりづらい。最初かなりきつい坂を登ることになる。すぐに広場に出て車が十台ほど停められる。この日は近所のお婆ちゃんが孫と遊んでいるだけだった。そこから十分ほど徒歩で登ることになる。
 大きな桜の木々に囲まれた小高い丘は我々以外誰もいない。すこし登っていくと角館の町を見下ろす丘に出る。小規模ながら石垣も残っている。頂上までいくとかなり広い広場に出る。どうやらここが城跡らしい。よく整備されているのだが、とにかく人気がないのでちょっと淋しい。さすが東北である。ここで記念写真などを撮っておく。四度目の訪問にしてようやく来れた場所である。感慨無量である。

 さて、角館見物も一段落したのでもう一度武家屋敷に戻ってお土産を買った。今回は電車なのでできるだけ荷物にならないものを選んだのである。それから食事でも…、と思ったのだが、お菓子なんかを試食していたのでお腹がへらない、なにか角館名物でも、と思っても思いつかない。そこで電車の中で食べるお弁当をスーパーで買うことにした。角館の町中に大きなスーパーを発見。でも、やっぱり地方のスーパーはどことなく違うのである。売っているものが違う。こういうのを見ているのもまた楽しいのである。

 電車の時間は二時ちょっと前である。三十分に車を帰して駅前のお土産もの屋を見物していた。女子高生がたくさんいる。そういえばみんな色が白いように見える。こういうのを秋田美人というのかな…。耳を澄ませると地元の言葉が可愛いですね。

 さて、又々新幹線で、今回はお弁当と一緒に軽くビールなども飲んだりして。昔は一緒に長い時間いると喧嘩ばかりしていたような気がするけど、さすがに孫ができる歳になると穏やかになるもんです。たまにはこんな風にカミさんと旅をするのも良いもんです。しかし、一泊二日の格安ツアー。最初は不安だったけど素敵でした。今度はあそこに行こう、ここにも行こう、お金をためよう、とカミさんはかなり意欲的でした。確かにこの値段でこの内容は癖になりそうです。
 東北の小京都、角館を今回は隅々まで歩きまわったので、思い残すことはありません。大満足の旅行でありました。

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