★花と若葉、春爛漫の陣馬・高尾を散歩する。

2004.04.16

 塔ノ岳登山でしばらく山行きは出来ないと思っていたのに、IZUMO氏が連休前にもう一度だけ行きましょう、と誘ってきた。GIZUMOとしては断ればいいものを、やっぱり陽気に負けてOKしてしまって、今回の陣馬・高尾コースに参加することになった。というのも、塔ノ岳での下りの遅さを克服すべく、靴の改良を試みてみたいという思いもあってのことであった。
 GIZUMOの場合、靴が少し大きめなのだろうか、下りになると爪先が靴に当たってしまう。IZUMO氏に指摘された中敷を買って調節してみると、なるほど歩きやすい。これを試してみたいと思っていたのだ。実はK氏も同じようなことを感じていたようで、お洒落なK氏は山行きの度にいろいろな靴を履いてきていたのだが、この日、ようやく山専門の靴を買ってきたのだった。彼も下りのときに爪先が当たっていて辛かったという。話してみなければ分からないものだ。
 今回の計画は実は以前にもあって、天候で潰れていたものだ。生藤山に登ったときにいつかこっちから陣馬に登って高尾に行って見たいという話があり、IZUMO氏は具体的な計画まで立てていながら実現しなかった。コースとしてはそれほど辛いものでもないのだが、歩く距離自体は長いのでそこそこの覚悟はいる。

 七時半に高尾山口の駐車場に集合。電車で高尾まで戻って藤野に行き、そこから和田行きのバスで陣馬登山口に向かう。当然鉄道オタクのIZUMO氏がきっちり時間を合わせて計画を立てていてくれた。三人は高尾で待ち合わせ、計画通り電車に乗り込んだ。
 高尾で京王線から中央線に乗り換えるのだが、駅はサラリーマンや学生で大混雑。乗り換えホームまでノロノロ歩いているので時間ギリギリで乗り込むはめになった。高尾から藤野方面も逆方向にかかわらず満員である。どこの学校か知らないが高校生がたくさん乗っていた。
 藤野の駅前もどこかの会社に行く送迎バスなどでたくさんの人がいたが、しばらくすると閑散としてしまった。和田行きのバスはすぐに来た。乗客は我々のほかに勤め人風の人が一人だけ。その人も途中の小学校で下りていった。陣馬登山口で下車。そこで登山の準備運動などした。気温は高く、薄着で来たGIZUMOは正解だったが、K氏とIZUMO氏は何枚か服をリュックにしまっていた。陣馬温泉の大きな看板を出発点に歩き始めた。
 今回はIZUMO氏の計画で陣馬温泉には寄らずに一ノ尾尾根経由で行くことになった。しばらく車が一台やっと通れるくらいの車道歩きが続く。当然傾斜も急である。まだ早朝のことで、小さな子供を連れたお母さんが運転する車が何台か下りてきた。しかしそれもしばらくすると長閑な風景に変わる。桜や桃の花が満開で思わず見惚れてしまう。今回は珍しくK氏もカメラを持参。大好きな花を撮りまくっている。


 上りも心臓破りの急な坂はなく、塔ノ岳を体験したGIZUMOにはとても楽なものだった。面白いことに道の片側が杉で、反対側がブナなどの落葉樹ときっちり住み分けている。とりわけ若葉が美しく、黄緑色の葉がやけに眩しい。
 登るにつれて左側に生藤山が見えてくると、我々は「あの山に登ったんだよなぁ……、」という感慨とともに妙な親しみを感じて写真を撮りまくってしまった。今回は全体的にのんびりと、歩きを楽しんでいる。

 二時間ほどで陣馬山頂に到着。ここで軽くエネルギー補給などして景色を楽しむ。この日はよく晴れて初夏のような陽気だ。春なのでうっすら霞がかかっているが周囲の山はよく見える。ベンチに座るのもそこそこGIZUMOも写真を撮りまくった。女性の登山者がけっこういる。GIZUMOはそんな一人に頼まれてシャッターを押したりしていた。
 30分ほど山頂を楽しむと先を急ぐことにした。次の明王峠で昼食の予定である。ここも楽にクリア。ちょうどお昼時に到着。茶屋のベンチは年配者のハイカーで賑わっている。我々もベンチを一つ拝借してお弁当を広げた。
 さて、GIZUMOの靴なのだが、最初は調子が良かったのだが右足の甲が痛くなってきた。少しギュッと締めつけすぎたらしく、靴の一部が固まりになって当たっていたのだ。紐を緩めたのだがそうすると爪先が当たってしまう。もう一枚中敷を敷かなければ問題は解決しないのだろう。なんだ、痩せた分足も小さくなったっていうのか?。とにかくまだ改良の余地がある。

 次ぎなる目標は景信山である。時間を見ているIZUMO氏が少し急ぎましょう、というのでGIZUMOはスピードアップ。塔ノ岳を登ったGIZUMOの足は例の無意識の動きを始めた。自分でも驚くほどグングン登れるので、GIZUMO自身はちょっと楽しい気分だった。が、K氏とIZUMO氏はペースが早すぎると文句を言っている。もっとも花があれば止まり、景色が広がれば止まって写真を撮ったり、ペース自体はのんびりしたものだ。
 コースのあちこちに山桜が咲いている。IZUMO氏は足もとの可憐な花に興味を持ってデジカメで撮ったりしている。植物に詳しいK氏によるとこの花はスミレだという。GIZUMOの母親の名も「スミレ」である。ちょっと感傷的になってしまうGIZUMOであった。
 実はGIZUMOは又々うぐいす笛を持参していた。鶯が鳴く度にGIZUMOも笛を吹いてコミュニケーションを計っていた。向こうからかなり年配のハイカーが来て、本物の鶯の声に足を止めて聞き入っていた。すれ違ったGIZUMOはそっと笛を出して思いっ切り吹いてみた。するとそのハイカーは「アア、近くで鳴いてるね、」と呟いていた。それを聞いたK氏がゲラゲラ笑っている。なんたる不届き者か……。

 二時頃、景信山に着いた。K氏はかなり疲れている様子だった。IZUMO氏とGIZUMOはベンチに座って体を休める時は休むのだが、K氏は落ち着きなく動き回っている。IZUMO氏と顔を見合わせて、大丈夫か?、と目線で話した。景信山からの景色もまた素晴らしいもので、相模湖の向こうに以前登った石老山が見える。K氏は自分が登った山に特に興味があるようだった。GIZUMOもそれは同じだ。登ったことのある山は懐かしいのだ。
 景信山からはこれから行く小仏、高尾の山並みがよく見える。「あそこまで行くんですよ。」IZUMO氏が指差すと「エー!!!?、」とK氏は顔色を変えてしまった。「まだあんなに行かなきゃなんないの?。」もう、真っ青である。確かにGIZUMOが高尾から陣馬に向かった時、この景信山から高尾を見返して「よくここまで歩いたもんだ、」と思ったものだ。ここからの景色はそれだけ雄大でスケールがあるのだ。「Kさん、歩いてみれば見た目よりも近いですよ。」IZUMO氏が慰めてもK氏は聞かない。今まで何度も「もうずぐだよ、」と言われて辛い登りを上らされたK氏はそんな言葉も信じなくなっている。GIZUMOは言葉もなく、「とにかく行くしかないよね。」というばかりである。
 高尾からはケーブルカーで下りたい。K氏のそんな願いを叶えるためにGIZUMOはかなり早いペースで歩いた。しかし、所々で出会う山桜の素晴らしい花や足下のスミレの美しさにしばしば足を奪われ、ようやく城山に到着。ここでGIZUMOとIZUMO氏はラムネを買って飲んだ。K氏は相変わらず腰も下ろさずあちこち写真を撮っている。落ち着きがないんだな………。
 先月ソフト部の高尾登山でGIZUMOが酔っぱらって登った一兆平もあの時と打って変わって花盛りである。桜の花に囲まれた素敵なベンチがあったので、GIZUMOはそこでホームページのトップ写真をぜひ撮りたいと思った。K氏に頼んでシャッターを押してもらったのだがなかなか思うような出来にならない。IZUMO氏がK氏にGIZUMOの意図を解説してようやく写真が撮れた。もちろん真似っ子のIZUMO氏も同じ構図の写真を撮っていた。
 一兆平から高尾に向かっては再び登りが始まる。ここでもGIZUMOのロボットレッグはグングン登っていく。こんなに変わるものなのか。とにかくIZUMO氏もK氏もおいてドンドン先まで行ってしまう。彼等を待ちながら写真を撮ったり周囲の景色を眺めたり、こんな余裕のGIZUMOであった。
 富士見台の休憩所でIZUMO氏が「休憩しましょう、」と音をあげた。「ここの景色が好きなんですよ、」などと負け惜しみを言ったりして。別に競いあっているわけじゃないんだもんね。「もうすぐ高尾山ですよ。」「そうか、思ったより近いんだね。」ゴールが近い事を知ったK氏はかなり機嫌がなおって、体中笑っているようだ。
 最後の登りもGIZUMOにとってはそれほど苦しいものではなかった。四時少し前に高尾山頂に到着。人影もまばらで黄昏ている。ここで最後の記念写真を撮って下山した。今回は時間節約で薬王院を抜けた。今まで何度も辛い気持ちで歩いたこの道である。今日も右足の甲がちょっと痛い。しかし足自体には余裕がある。

 ケーブルカーは六時まで動いていた。急いで四時半に到着したが、GIZUMOもここで疲れを感じ始めた。このルートは標高差はそうでもないのだが、距離はかなりある。三人とも疲れていた。しかし、今日ほど楽しんだ山行きはないだろう。なんだかんだ言っても一度歩いているコースだし、季節は好いし天気もいい。気の合う仲間と気軽に歩くこんな楽しさはGIZUMOの今までの人生で体験したことがなかった。自然の息吹きを体で受け止めて、季節を受け入れて、生きている幸せを感じる。
 結局いつもの時間に下山。「IZUMO休憩隊」は健在である。帰りはIZUMO氏未体験のフロッピーに寄った。ここでGIZUMOはソフトクリームを、IZUMO氏とK氏はかき氷を食べて大満足であった。こんな楽しい山行きは、多分来年の春までないだろうな……。

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