2005.4.12、河口湖と西湖の間にある展望の山「足和田山」に行った。メンバーはIZUMO隊長、K氏、GIZUMOに陣馬で一緒だったN友さん、乗鞍で一緒だったM岡さんの五人である。実は最初の計画では富士山の西側にある天子山塊の毛無山に登るはずだった。前日から山中湖の別荘に泊まり込んで万全の準備をしていたのだがずっと天候が悪く、この時期、箱根のように無理して登っても二千メートル近い毛無山では雪になっている可能性も高いので早々に中止にした。この日も朝は曇だが雨になるという予報だったのでそのまま帰ってもよかったのだが、せっかくメンバーが揃っているのでトレーニングも兼ねて足和田山に行くことにしたのだ。尤もこの山はハイキングコースだが実に目立つ位置にあって、一度は行ってみたいところでもあったのだ。
前日は中止ということで夜中の二時頃まで飲んで騒いでしまった。今朝は十時のチェックアウトに間に合わないくらい寝坊してしまったのだ。N友さんが意外なオサンドン振りを発揮して立派な朝食を用意してくれたりして贅沢な朝を過ごして、足和田山にとりついたのはお昼頃だった。

今回はM岡さんのハリアーとK氏のベンツの二台で来たので、まず河口湖側の道の駅「かまかつ」にベンツを置いてハリアーで紅葉台下に行く。下山したらM岡さんとK氏でベンツに乗ってハリアーを取りに行く、というこれまた贅沢な計画なのである。こういうチャンスは滅多にないのでたまにはいいだろう。
灰色の空気だが雨はまだ降っていない。支度の遅いIZUMO隊長、M岡氏を待ちながら牧場をぼんやり眺めていた。馬のいる廐舎を覗いているとN友さんが「懐かしいにおいだな、」と呟いた。「N友さんの田舎はこういうところだったの?、」と聞くと「そうだよ、農家だったからな、」と微笑んだ。今年から趣味で畑をやるといっていたが、血は争えないって奴かなぁ。その横でK氏はじっと牧場の馬などを見ていた。「あれって普通の馬より小さいですよね、」とどうでもいいところで観察眼を発揮している。どうやらポニーという、やや小さい馬らしい。この馬に乗って足和田山に登ることができるようだ。
五人揃って紅葉台を目指す。ここは車でも行けるのだがかなり荒れているので車高の低い車は下を擦ってしまうだろう。車が通るということで傾斜もそれほどきつくない。歩くにはいい道である。途中岩が崩れている。こういうのを見るとちょっと怖い気がする。「こんなのに当たったらひとたまりもないね、」ここを通る人は誰もが口にするだろう。
途中から東海自然歩道に沿って階段を上がっていくとすぐに紅葉台の展望台に出る。さすがに今日は閉まっている。ここから先はK氏が以前に行ったことがあるというのでナビゲーターになってもらう。K氏のナビは日本一当てにならないのだ。しかも本人が焦るので傍で見ているとこれほど面白いものはないのである。「えーっと、こっちこっち、そうそうこっち。」などと言いながら我々を先導していく。しかし絶対にこちらも地図などで確認しておかなければならない。そうしないと同じところをグルグル回るかとんでもないところに案内されるかである。どうやったらこうもうまく間違えるのかと思うのだが、K氏曰く「家に帰れなかったことはない、」というのでいつか家には帰れるのだろう。が、みんなそれほど我慢強いだろうか…?。
紅葉台の駐車場は霧で見通しがよくない。その中にぼんやりと自衛隊の車両が停まっている。武器オタクでもあるIZUMO隊長はしっかり調べまくり、写真に収めている。楽しみがいっぱいある人はいいですな。こうして歩いていても退屈しないようです。
K氏の頼りない案内で十分ほどで三湖台に到着。広々とした広場になっている。天気が良ければピクニックには最高の場所である。きっと河口湖、西湖、本栖湖がよく見えるのだろう。しかし今日は全く雲の中という感じでなんにも見えない。十分ほどで先に行くことになった。
ここから五湖台と呼ばれている足和田山まではほぼ一時間のコースである。道は平らなのでどうってことないと思っていたのだが、何ヵ所も瘤があって登ったり下りたりするようになっている。瘤といってもかなりのもので階段をなん段も登り降りしなければならない。先頭のN友さんは「もちろんこっちへ行くよね。」という感じでズンズン登っていく。GIZUMOもトレーニングも兼ねているので遅れないようについていく。その後からIZUMO氏、M岡さんがしゃべりながらついてくる。K氏は?、と思って振り返るとしたの巻道を歩いている。「なんだよ、トレーニングなんだからこっちにきなよ、」というと顔をしかめて「今日はこっちでいいですよ、」という。調子が悪いのか意気地がないのか分からないが、この日ばかりはテッテー的に巻道を歩くK氏に、GIZUMOは「マキミチ」という名前に変えるよう進言したほどだった。「なんか頭良さそうでいいですね。」とK氏も気に入ったようなのでこれからは「マキミチ」と呼ぶようにしようかな。
途中から雨が降ってきたので全員雨具を着用した。ずぶ濡れになりながら五湖台に到着。屋根付きの展望台に登って一休み。ここで思い思いの昼食をとることにした。雨が降りだしてから気温がグッと下がってきたようでM岡氏が「寒い寒い、」を連発している。IZUMO氏も震えている。確かにお握りを持つ手がかじかんでくる。かなり気温が下がっているのだ。
雨の中でぼんやりしていても仕方がないので下山開始となった。ここからは「下りのK氏」と言われているK氏が俄然張り切ってN友さんに先駆けてズンズン下りていく。GIZUMOは呆気にとられていたが、膝のこともあるのでマイペースである。N友さんはなんだか時代劇の侍か、それとも山賊みたいな感じでズンズンおりていく。あまり人のことなど気にしないでマイペースである。途中GIZUMOは小用のために遅れたが、誰一人待ってくれるものはいない。少しペースをあげてしんがりのM岡さんが見えてきてほっとした。
またしばらく行くと今度はK氏がぼんやりタバコを吸っている。「どうしたの?、」と声をかけると、「あのね、N友さんみたいにみんなを待ちながらタバコを吸ってみたかったのよぉ、」と本音をのぞかせる。みんなに「マキミチ」とバカにされたので少し見返したかったのかな。それからずっとK氏といっしょに下りていった。

いくつか分岐に出会うとIZUMO氏が地図で確認しながらルートをとっていく。それでも実際の感覚とは違うのでルート取りはなかなか難しいのである。それに責任もあるし。一時間ほどするとなにやら立派な神社が出てくる。ここで小休止をとって一気に下山。三十分ほどで車道に出る。あれこれ迷いながらも三時半頃道の駅に到着。やれやれである。
K氏とM岡さんが車を取りに行っている間お土産屋などをブラブラと見て歩いた。蜂蜜好きのN友さんがでかい瓶を買っている。GIZUMOは「天然巣蜜」というのを常食しているのだがN友さんはまだ自分にぴったりのものを見つけていないようだ。
三十分ほど待ってようやく車が到着。二人には御苦労さまである。帰りは富士展望の湯「ゆらり」によった。ここもいろいろな浴槽があって楽しめる温泉だった。
このメンバーは夏に白馬に行く予定のメンバーである。少しでも付き合って互いの人となりを知っておくことは重要である。今回の登山もそういう意味もあって企画されたものである。残念ながら登山という点では恵まれなかったが、前日の飲み会、この日の雨の中のハイキングを通してそれぞれの人となりがかなり理解し合えたのではないだろうか。それにしてもK氏の行動は不可解である。これだけ付き合ってもまだ分からない、と言うのも人間の面白さなんだろうな。

